Riches I hold in light esteem

NHKの土曜ドラマ「ハゲタカ」が終わった。結局、2回分ほど見逃してしまったけど、かなり重量感のあるドラマで、意外に興奮してしまいました。さて、そのエンディングテーマが作詞エミリ・ブロンテとなっていたので、何でだろうと思ってたのですが、事実、あのエミリ・ブロンテの詩に曲をつけたものだったんですね。その原詩はこんなふうなものでした。

Riches I hold in light esteem,
And Love I laugh to scorn;
And lust of Fame was but a dream
That vanished with the morn ー

And if I pray, the only prayer
That moves my lips for me
Is ー‘Leave the heart that now I bear
And give me liberty.’

Yes, as my swift days near their goal,
‘Tis all that I implore ー

Through life and death, a chainless soul,
With courage to endure!

なかなかいい詩ですよね。平井正穂さんが岩波文庫で付けた訳詩がこれです。

“富なんてものは問題にならない、
恋だって、考えただけで吹き出したくなる。
なるほど、名誉欲か? そういえば、昔夢見たこともあったが、
日が射すと忽ち消える朝露みたいなものだった。

もし私が祈るとすれば、自然に
口をついて出る祈りはたった一つの祈りだ。
「今の私の心をこのままそっとしておいてくれ、
そして、ただ自由を私に与えてくれ」という祈りだ。

嘘ではない。ーー光陰矢の如しで、どうやら私の
終わりも近い、そこで私が求めるものは、ただ、

何ものにも囚われない一人の人間として、勇気をもって、
生に堪え、死に堪えてゆく、ということだけだ!”

訳詩はかなり意訳の部分が目立ちますが、劇的になっています。でも、いい詩ではないですか。こんな詩を再発見させてくれただけでも「ハゲタカ」、なかなかよかったです。

第2次「研究と資料」

Zasshi

早稲田大学教育学部大学院の千葉・金井研究室から第2次「近代文学研究と資料」第1集をもらった。ゼミ担当の教員の肝いりでもあるから、同人雑誌とは言い切れないかもしれないが、修士課程の院生がずらっと目次に名をつらねている。いろいろ注目すべき論文が並んでいるが、なかでも先日、「鬣」の特別展で出会った俳人・外山一機こと、児島豊さんの「近代における女性の作句行為とその周辺ー長谷川かな女と保持白雨を中心にー」がおもしろかった。あの『青鞜』のなかで俳句を書きつづけ、同人仲間から「おばさん」的存在としてとらえられていた保持ヨシがこのようなかたちでスポットを浴びるとは思いもよらなかった。彼女の俳句の新傾向俳句との同質性や、短歌に一時期シフトすることで紋切り型になっていく経緯など、なるほどそうかとヒザをうった。小説を中心にする研究はそのテクストがどう読めるのか、新たな解釈を志向するところが強いけれど、俳句のような最小のテクストの場合は、それがどのようなコンテクストにあらわれてきたのかを提示することで、見え方を変えるということがある。知らず知らずにおちいる枠の狭さはかえって異なる視角から照らし出されたりするものだと思う。
第1次の「研究と資料」には、ぼくも院生のとき参加したことがある。竹盛先生の研究室のころだ。高橋広満、高橋世織、大橋毅彦さんたちと一緒だった。1学年下に二葉亭研究をしていた広瀬朱実さんもいた。大阪に赴任していた広瀬さんが病気で亡くなってもうだいぶ経った。そうした時の経過もあらためて思い起こされた。

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