大学は入学定員を決めていますが、そんなに予定通り入学手続きをしてくれるわけではありません。定員を下回ると、「定員割れ」と言われ、受験者数の減少と相関関係にあると認められると、一気に評価を下げる危険があります。私立大学ではだいたい定員以上の入学者があるように合格者数を出すのが一般で、大規模大学はかつて定員の1.3倍ぐらいまで受け入れ、財政条件を良くするように誘導してきました。ところが、この間の18歳人口の激減、にもかかわらず増えた大学数に応じて、定員割れを起こす大学が私学の4割にも達しようとしています。そこで大学の経常費補助金を出している私学の振興財団では大きな大学は1.2倍以上の入学者を受け入れてはいけません、そのような場合は補助金カットなどのペナルティを与えますという制約をかけた。これは共存共栄で生き残りたいという要望ですし、入学定員が多すぎるのは教育の質にも影響するから悪いことではない。しかし、入試の判定をしていくものにとって、たいへんやりにくい状況になってきたというわけです。なぜならうちのように学科別でやっているところは、100人定員とする学科ではこれまで130人前後まで入れてきた。しかし、今後は120人以下にしなければならないということになります。定員は100人だから、それから120人の幅のなかに収めなければならない。私学はどこも財政難だから、運営側は115人ぐらいにしてほしいとなる。すると、最初から115人を目標値とし、前後2〜3人の幅で収まるように合格者を出すことになります。これは針の穴にらくだを通すよりむずかしいことです。