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講談社文芸文庫で出ていた野間宏の「暗い絵・顔の中の赤い月」が新装改版となって昨年12月に再刊されました。解説を書いています。ちょうど2ヶ月ぐらい前、まさに葬いのさなかに締め切りが来たので、あわただしく書いたものですが、久しぶりに野間宏の初期短篇、それも「暗い絵」と向き合って、自分なりの考えを書くことができたように思います。この小説と出会ったのがはもうかれこれ40年も前のこと。小説自体が発表されてから、65年が経過しました。小説を読んで、楽しいとか面白いとかいう感情以上に、いったいこれは何なんだと胸をつかまれるような思いをした最初の経験でした。以後、埴谷雄高、大岡昇平、武田泰淳、堀田善衞、梅崎春生の小説を読み出すきかっけともなりました。小説としての出来栄えとはべつに、日本の近代文学の矛盾と困難さを体現しているような小説だと思います。ぜひ、のぞいてみてください。