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 この4月から同僚となった高榮蘭さんの本が最新著が出ました。幸徳秋水から始まって島崎藤村『破戒』や中野重治、張赫宙、金達寿らが俎上にあげられています。幸徳や『破戒』がなぜ、「『戦後』というイデオロギー」に関係するか? それは読んでからのお楽しみですが、彼女のいう「戦後」には、日本の近代史をめぐる歴史的なパースペクティブの成立が関与しているからです。最初期の論文から出来上がっていく過程をほぼ同時進行で横で眺めていたので、こうやって一冊になるとあらためてその重量感に驚かされました。近代文学研究のみならず、思想歴史研究のひとも必読だと思います。