人文研の共同研究会。この日は、NHK放送文化研究所の長井暁さんによる「映像アーカイブをどう構築するか:世界各国の取り組みから」と、一橋大大学院のベ・ヨンミさんによる「朝鮮人特攻隊員をどう考えるか」の豪華二本立て。長井さんは長年、NHKスペシャルやETV特集などでドキュメンタリー製作に関わってきた方。今回はさまざまな国々で映画やテレビなどの映像をどのようにアーカイブ化しているかを報告していただき、日本の現状について考える。デジタルアーカイブの重要性を今頃になって文化行政のトップが口にしたりしていますが、何しろフィルムライブラリーが国立近代美術館の一部門でしかなく、予算も人員も限られている中では公開アーカイブへの道筋は遠い。国によっては、映像アーカイブの検索がネットで出来たり、部分的にはMpeg3などで確認できるのだそうです。日本は映像製作では「先進国」ですが、保存と公開については圧倒的に未開に近い「後進国」となっています。G8とかって、どこの国の話なんだろうか。
第二部のベ・ヨンミさんはまだドクターコースの院生で、韓国からの留学生だが、この間、朝鮮人の特攻隊員の生き残りの方達を探し出し、聞き取り調査を行って、その実態を探る研究を展開している。これもまた1つのアーカイブをめぐる問題。「特攻」という言葉であらわされている問題が単なる戦術のひとつではなく、当時の植民地人を巻き込みながらいかに戦争遂行に動員するかをめぐって、神話化やメディア操作をふくめて作られた戦略であったかを明らかにしていた。ドクター論文はほんとはべつなテーマだそうです、たまたまこの問題に出会ってからどんどん深入りしてきてしまったとか。こういうドクターの院生は、もう院生だとか教員だとかの差はありませんね。たいへん魅力的で、力強い研究者の登場を知らされました。