この間、新高円寺の「げんこつ屋」がやたらに工事してるので、改装か何かかなと思ってた。最近はめったによることがなく、むしろ隣のベトナム人の主人がやっているエスニック料理に行く機会が多かった。でも、この主人が自転車事故で腕を骨折したとかで、数ヶ月ぶりに出かけてみたら、隣の「げんこつ屋」がまったく違う中華屋になっている。ベトナム人の主人に聞いたら、「げんこつ屋」はつぶれたんだよって。ええ〜〜!都内で15軒ものチェーン店になり、神奈川にラーメン工場までつくっていたのだけれど、資金繰りに失敗したのか店をたたんだのだという。詳細情報はわからないけれど、あちこちの店も閉店した模様。新高円寺店が「げんこつ屋」の最初の店だったはず。ぼくが知ったのは、もう20年近く前で、たぶん阿佐ヶ谷店を出した直後ぐらいだったかな。阿佐ヶ谷駅北口の商店街の端に、古書店などと並んでカウンターだけの店があった。主人はラーメンの新作に熱心で、いまとはかなり違う盛りつけ麺にチャレンジしていて、それはかなりおいしかった。休日になると、そのころ住んでいた鷺宮から自転車で足繁く通い、主人と会話したことも覚えている。ラーメンのスープにこだわって、ほんとうは一杯千円ぐらいとってもいいんじゃないかと思うほど打ち込んできたんですよと語っていた。そのころの熱意も意欲も、有名になるにつれて変化し、高円寺に引っ越して新高円寺店に行ったころは、もうすっかり味に奥行きがなくなっていた。工場でスープも冷凍で出荷し、店ではそれらを手順に即してくみ入れるだけだった。それでも水準は高かったけれど、かつてを知っているものからすれば寂しい味だった。その「げんこつ屋」が消えた。25年ぐらいはつづいたのではないかな。ラーメン博物館にも数年前まで出店していたはず。しみじみしますね。他人事と思えないところがつらい。