下高井戸シネマのドキュメンタリー映画祭がこの日で終了。大トリになったのは、詩人の吉増剛造さんが奄美や沖などの島々を旅するすがたを追った伊藤憲監督の「島ノ唄」でした。飯田さんからぜひ来てねと言われていたので、土曜日の夜8時半にシモタカにかけつける。以前、近代文学館の「声のライブラリー」という朗読会でお目にかかったことのある吉増さんが見えていて、ちょっとご挨拶。この日も150人ほどの観客席はほぼうまり、補助椅子も出ていました。座った席の近辺で聞こえた女性たちの会話−−「今回はさぁ、なかなか来れなくて。でも『エドワード・サイード』は見たわ」「『サイード』も良かったけど、わたしは『ディア・ピョンヤン』見て、もう大泣きだったわ」「ああ、あれ見たかったの〜、残念」。うーん、やはりシモタカはレベルが高いわ。
上映の前に伊藤監督と吉増さんがスピーチ。とりわけ吉増さんはつい最近亡くなった島尾ミホさん(この映画にも出ている)について語ったのだが、その話しぶりがだんだんだんだんふつうの言葉から離陸して、非日常の扉に耳をおしあてて向こうの声を聞いているかのように感じられてくる。150人の観衆はただ圧倒されている。そうか、詩人ってこういう存在だったのか。そんなつぶやきが聞こえてきそうでした。
それにしてもこの映画祭もずいぶん回数をかぞえた。もはや4月のシモタカ名物のひとつになってのではないでしょうか。観衆もリピーターが大半だったように思います。主催者飯田さんのたゆまぬ努力と持続力に拍手!