一昨日から山口県の萩に校務で出張していて、初めての萩ツアー自体を楽しんでいたのだが、昨日、思いがけず筑摩書房の編集部からメールが届き、鈴木日出男さんの訃報を知った。お年は75歳だったから、たしかに何が起きてもおかしくないのではあるが、ほぼ毎年、筑摩書房の高校生用の国語教科書の編集会議でお会いし、今年もお元気そうだっただけにびっくりした。思えばもう25年も前からお付き合いいただいていたことになる。最初に筑摩の「国語」編集会議に出たときにおられたのは、猪野謙二さん、秋山虔さん、分銅惇作さん、鈴木日出男さん、高校の先生では桑名靖治さん、鈴木醇爾さんたちであった。そのうちもう猪野さん、分銅さん、桑名さん、鈴木醇さんが鬼籍に入られ、そして今度は鈴木日出男さんまでが……。編集会議での鈴木さんのことを思い出すといろいろあるが、いちばん記憶に残っているのは懇親会でちょっとゴタゴタしたことがあって、みな深酒した帰り、電車もなくなって新宿駅前でタクシー待ちをしていたときのこと。ひょんなことからタクシーを待って並んでいる前の客とけんかになった。カッとなった鈴木さんが殴り合いをしようとして、それを桑名さんとともに抱きとめて止めたことがあった。ふだんはとても穏やかだっただけに意外に熱い源氏学者だなあと思った。あれが一、二年目のときだから、やはり四半世紀近く前の出来事でる。まだ鈴木さんは50歳になるかならないかというときだった。東大教授をつとめられて、成蹊大に移られ、悠々自適になって学者としての最後のまとめに入ろうかというところだったろう。師にあたる秋山さんの悲嘆を思うとつらい。心よりご冥福をお祈りします。