IMG_0016 品田悦一さんの『斎藤茂吉 異形の短歌』を拝読。たしかに茂吉短歌はふつうではない。中野重治も書いていたけれど、茂吉にあるわかりにくさというのは尋常ではない。中野が言及していたのは、茂吉の批評もふくめてであったけれど、品田さんは短歌という創作においても、「たまらなく変」だという。万葉集以来の語彙や文法という従来の理解にも品田さんは厳しく切り込み、茂吉流の改変がなされていることを指摘している。教科書に掲載されていく経緯などもあらためて浮き彫りにされた。ですます調の平易な文体でながらも、刺戟の多い好著だと思う。
 このあいだの日本マスコミ学会のときも短歌の話題が出た。岩波茂雄もそうだけど、角川源義にしても短歌についての関心が深い。アララギ派を支援し続けた岩波書店はその内部から佐藤佐太郎のような歌人を出してもいる。角川もまた春樹はじめ歌人を輩出した。佐藤卓己氏に言わせると、三井甲之、蓑田胸喜も歌人であり、和歌・短歌のネットワークは思った以上にイデオロギーを越えた人のつながりをもたらしているかもしれないとのこと。
 短歌の解釈ということとはべつに、和歌・短歌の社会学や文化史的な考察を誰かやってくれないだろうか。