2日目が唯一、1日まるまるの休日です。そこでパリを離れてバスツアー。行き先は白ワインで知られるブルゴーニュ地方のシャブリ村、および世界遺産にも登録されたヴェズレー村です。なんと片道3時間、往復6時間の長旅でしたが、バスの窓から見えるパリの街、郊外、そして延々とつづく田園地帯の眺めが最高でした。とりわけ360度、家らしい家がみえない農場の光景は、思った以上に驚きでした。フランスはたしかにまぎれもなく農業国なのですね。パリの人口220万人。それに対して首都をとりかこむ田園は、ユーラシア大陸こそ一枚岩の地続きであることを思い知らされました。シャブリでのワインテイストもさることながら、ヴェズレーの13世紀に建てられたという教会は、イスラムや仏教と同じく、目に一丁字もない人々を相手につくられた宗教テクストでもありました。ただ、この内壁の色違いの石組みデザインはサラセン人に支配されたスペインからもたらされたものだとガイドのおじさんは説明していました。とすれば、やはりイスラム美術の影響圏ということになる。中東から北アフリカをへてスペインへ渡ったイスラム文化はこうしてフランス、ブルターニュにまで沈黙の足あとを残していたことになります。最盛期1万人が巡礼に来たというヴェズリー村の人口は500人程度。城壁のような教会裏の頂上から、見渡すかぎり広がる田園風景を眺め、試飲したワインの余韻にひたりながら、しばし、アメリカや中国の空間とは異なる空間の質について思いをめぐらせました。
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